学校資本に見るフィリピン留学

学校選びにおいて、学校の経営が、どこの国の資本かを 気にされる方もおられるのではないでしょうか?

セブにある学校の資本は、主に韓国系、フィリピン系、アメリカ系、日本系とありますが、 では、この学校の資本が、どの国かというのは、実際重要なポイントなのでしょうか? 「英語の教育」という面からでいうと、資本と英語教育はまったく関係ありません

とくに、アメリカ人資本の学校のほうが、英語がうまくなるのではないか、と思われがちですが、 「そうではありません」と99パーセント断言できます。 あるいは、アメリカ資本だから安心できるということで、そちらの学校を選ばれる学生さんも おられますが、これも「ちょっとお待ちを」と申し上げたいです。

フィリピンにおける英語学習は、基本的にフィリピン人の先生と、少数のネイティブ教師が教えてくれる ということになっています。 語学学校による先生の質の違いは、学校の資本というより、個々の資質にまず始まるといえます。 たとえば、教育学のドクターの称号まで持っているフィリピン人講師と、 ハイスクールを卒業して、その後はエンジニア、会社をリタイアして老後はセブで過ごしているので、 アルバイト的に講師をやっているネイティブと、果たしてどちらの方が英語教育に向いているでしょうか?

このように、ネイティブ講師だからということで、ぜったいにそちらから学んだほうが いいとは言えない状況があります。 そのほか、学校による講師の教育、訓練という面からも、講師の質は変わってきます。 しかしそれは、学校の資本がアメリカだから講師の質もいいとか、韓国系だから、 講師の発音が良くないということにはなりません。

講師の選択や、どれくらい学校が、先生の質をキープすることに努力しているか、という点の方が 重要と言えましょう。 そしてこのことは、学校の資本とは基本的に関係なく、経営者の志の高さによって決まってくる問題です。 問題は、学校の資本がどこか、というよりも学校としての運営がしっかりされているかどうかなのです。

では学校選びにおいて、「資本は関係ない」と言い切れるかというと、そうでもありません。 違いは、「料理」・「サポート」・「生活様式」において違うと言えます。 まず提供される料理ですが、韓国系の学校なら、主に韓国料理が出てきます。 これは、韓国系の学校では、韓国人学生が主な顧客として考えられているので、 顧客のニーズに合わせるならば、当然そうなります。

フィリピン系の学校ですと、フィリピン料理が主になります。 日本系の学校が、では三食全部日本食なのかというと、それは学校ごとに対応は 異なるようですので、その辺は各学校に事前に確認すべき点です。 わざわざ日本人シェフを連れてくる、というわけにはいかないでしょうし、 日本料理のノウハウをフィリピン人シェフに教えるのも時間がかかるだろうことは、 想像に難くありません。

次にサポート面ですが、ここはどの国の資本であるかによって、大いに違って来る点だと言えます。 韓国系の学校に行きますと、だいたい、校内放送は韓国語で行われます。 英語も同時に言ってくれることもあります。しかし、日本語では行われないでしょう。 掲示板のメッセージも、主に韓国語か英語で、日本語はなかなか見当たりません。

日本人経営ですと、やはり当然日本語でのサポートが手厚くなってくるので、 この言葉を通したサポートの面では、大きな違いがあると言えます。 こうした面ひとつとっても、経営資本の違いによって、サポート面は変わってくることがわかってきます。 また、とくに英語初心者の方は、英語の学習方法についての質問を、学校のスタッフに日本語で質問できるか できないか、という点は大きいと思います。

先生は日本語を使えませんので、どのように勉強を進めて行ったら いいのか、行き詰まった時に、日本語で相談に乗ってくれるスタッフがいてくれることは、とても心強いでしょう。 たとえば周りが韓国人だけだと、英語初心者は、かなり心細くなってしまい、洗濯物の出し方すら 聞くことができなくなってしまう方もおられます。 つまり韓国系の学校は、とうぜん韓国人のケアに向いていて、日本人経営は、日本人に向いているということです。

3つ目の生活様式ですが、これは、ホテルの仕事をされたことがある方なら、 お分かりかと思います。 たとえば、部屋の使い方。 チェックアウトが済んで、掃除に行くと、たいていのホテルの人はこういいます。

「日本人は、綺麗に使ってくれるから掃除が楽だ」 つまり、生活様式は国によって異り、その衛生観念も異なってきます。 その辺の観念が、経営側の国によっても変わってくるということです。 例えば、つばをあちこちにはいたり、ゴミをゴミ箱にちゃんとすてない、タバコの吸殻も 転がっている、そういう状況は日本人には耐えられないかもしれませんが、 そういうのが「普通」の生活様式であるところもあるということです。

資本の違いは、英語教育に現れることはほとんどありませんが、このように、 学校の運営、とくにサポートの面で現れてくるということです。